【「墓じまい」が10年で2倍に増加。その背景にある“本当の理由”とは?】

近年、ニュースや身の回りでも「墓じまい」という言葉をよく耳にするようになりました。
実は、これは単なる印象ではなく、統計としてもハッキリとした変化が出ています。

公的な統計でも、
2013年度に約8万8,000件だった「墓じまい(改葬)」は、
2023年度には約16万7,000件まで増え、この10年で約2倍になっています。

これは決して一部の例ではなく、全国的な傾向です。

年度墓じまい(改葬)の件数
2013年度約8万8,000件
2019年度約12万4,000件
2022年度約15万1,000件
2023年度約16万7,000件

なぜ、墓じまいが増えているのか?

よく言われる理由としては、

  • 子どもや孫が遠方に住んでいてお墓を守るのが難しい
  • 継ぐ人がいない
  • 距離や体力の問題で管理が大変
  • 墓の管理費・掃除・お寺との関係が負担になっている

などが挙げられます。

これらは、一見「後継者不在」だけに見えるかもしれません。
しかし、実は生活の環境や価値観の変化が深く影響しています。


時代が変わったからこそ、墓じまいが選ばれるようになった

13年前、私がこの業界に入ったころは、
「墓じまい」自体が話題になることはほとんどありませんでした。

しかし今は、テレビやネットでも日常的に取り上げられ、
「検討したことがある」「将来的に考えたい」というシニア層も増えています。

これは、単に「継ぐ人がいないから」だけではありません。
私自身、多くのご相談を受ける中で、次のような声をたくさん聞いてきました。


現場のリアルな“声”

✔ 「お寺から寄付金や管理費を言われて、年金暮らしでは厳しい」
✔ 「お墓の掃除や管理は、思った以上に体力も時間も必要」
✔ 「子どもや孫に負担をかけたくない気持ちはあるけど、正解がわからない」

これらは決して特別なケースではなく、
多くのお客様が本気で悩んでいる問題です。

単純に「お墓が増えた・管理が難しい」という物理的な負担だけでなく、
金銭的・時間的な負担感が生活の中で大きくなっていることが背景にあります。


供養の選択肢が多様になっている今

また、昔とは違い、供養の選択肢が増えています。

  • 永代供養
  • 樹木葬
  • 海洋散骨
  • 納骨堂
  • 合祀墓(他家と合同)

これらは、
「家族の負担を減らしたい」
「自分らしい弔い方を選びたい」
というニーズと一致しているため、近年人気が高まっています。

「墓じまい」は終わりではなく、
供養や未来の在り方を自分で選ぶための入口とも言えるのです。


どう考えたらいいのか?

ここまで読んでくださった方の中には、

「結局、どうするのが正解なの?」
「墓じまいをした方がいいの?それとも残すべき?」

そんな思いを抱いている方もいるかもしれません。

けれど、私は現場で13年仕事をしてきて思うのは、
“正解は一つではない” ということです。

確かに、墓じまいは増えています。
時代の流れもあります。
経済的な事情や後継者問題も現実です。

でも、それでもなお——

言葉ではうまく説明できない
「お墓の良さ」 というものが、確かに存在していると感じています。

例えば、
「我が家だけのオリジナルのお墓」を建て、
家族でそこに立ち、手を合わせる時間。

風が吹き、花が揺れ、
石に刻まれた名前や言葉を見つめながら手を合わせると、
不思議と心が静まり、
少しだけ前向きになれる。

「よし、また頑張ろう」
そう思える瞬間がある。

これは、数字や合理性だけでは測れない価値です。

お墓には、
単なる“遺骨を納める場所”以上の意味があります。

それは、

・家族の歴史を感じる場所
・想いを伝える場所
・自分自身と向き合う場所
・子どもや孫に「つながり」を伝える場所

でもあります。

実際に、「お墓を建ててよかった」と言われる方の多くは、
完成した石そのものよりも、

「家族で話し合った時間」
「デザインを決めた時間」
「刻む言葉を考えた時間」

その過程を大切にされています。

もちろん、
経済的・身体的に難しい状況であれば、
無理をする必要はありません。

墓じまいを選ぶことが、
間違いだとも思いません。

ただ一つ大切なのは、

“負担だからやめる”だけで決めてしまわないこと。

もし可能であれば、

・なぜ迷っているのか
・本当はどうしたいのか
・家族はどう感じているのか

そこを一度ゆっくり考えてみてほしいのです。

時代は変わりました。
供養の形も多様になりました。

でも、「想いを大切にしたい」という気持ちは、
今も昔も変わっていません。

だからこそ、

お墓を残すのか、
墓じまいをするのか、
別の供養を選ぶのか——

その選択は、

「時代に合わせる」ためではなく、
“自分たち家族が納得できるかどうか” で決めてほしい。

そう思っています。

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